マーブル色の太陽
僕は、まだ誰も来ていない教室の、自分の席に座る。
ポケットから、返して貰った携帯電話で自宅に電話をする。
きっと、会社に行くこともできず、かといって二人で言葉を交わすでもなく、ただ、ぼんやりと、ソファに座っている両親の姿を思い描いたからだ。
電話は3コールで繋がる。
着信を知らせる音の、そのコールの数だけ苦悩する両親の事を思うと、胸が痛んだ。
「……はい」
電話には珍しく父親が出た。
僕は事件の経緯と、刑事に聞かれたことを手短に話す。
父親は労いの言葉を口にし、僕はただ「うん」とだけ答えた。