マーブル色の太陽


「これ、食え。朝飯まだだろ?」


琢磨はそう言いながら、大きめのタッパーと水筒を、ビニール袋から取り出す。

そして、それを僕の机の上に並べていった。


「さあ、遠慮するな」


琢磨がタッパーの蓋を開ける。

そこには、海苔で巻かれた大きめのおにぎりが3つと、たくわんが4切れだけ入っていた。


「お袋がな、昔から朝飯だけは絶対食わせるんだ。何があってもな」


琢磨はそう言いながら、またビニール袋をガサガサとさせ、職員室で使っているであろう、自分の湯飲みを机の上に置いた。

そして、水筒の蓋になっているコップを湯飲みの隣に置くと、水筒の中身を注いでいく。


「ほら、食え」


琢磨はそう言いながら、おにぎりを手に取る。

そして、自分だけもしゃもしゃと食べながら、じっと、湯飲みから立ち昇る湯気を見ている。

僕もひとついただき、同じように水筒のコップから昇る、白い湯気を見ていた。
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