マーブル色の太陽
「相田くん!」
江口さんが走り込んでくる。
僕の隣まで来ると、涙を流していることに驚き、そして、琢磨を睨みつけた。
「先生! 相田くんに何したんですか!?」
「あ、いや、飯食ってただけだが……」
「嘘! な、泣いてるじゃないですか!」
江口さんは、切れ長の目に涙を浮かべながら、琢磨にそう言った。
こんな江口さんを見るのも初めてだ。
琢磨も江口さんのその剣幕に押され、口の横にごはんつぶをつけたまま、慌てている。
僕はそんな二人を見ていた。
暖かい空気が自分の中からこみ上げてくるのを感じる。
そして、いつの間にか、僕の声は笑い声になっていた。
僕の説明により、誤解が解ける。
江口さんは恥ずかしそうに琢磨に謝り、琢磨もなぜか恥ずかしそうに「うむ」と言い、机の上を片付けている。
そして、来た時と同じようにビニール袋を携えると、教室を出て行こうとしていた。