マーブル色の太陽

頂上に着く。

見えるものと言えば、見知った土地なのだが、高い場所から見る景色は、逆に、そこに住む人々の営みを感じられ、僕は僕の世界を取り戻しつつあることを感じていた。



朝早く学校に呼び出された僕には、昼の弁当がない。

僕はみんなから離れ、少し小高い岩に腰掛ける。

お菓子の入ったビニール袋から、江口さんに教えて貰った、イチゴサンドクッキーを取り出して囓っていた。



そうしながら人の動きを見ている。

江口さんは弁当も開かず、きょろきょろと、色とりどりのレジャーシートの中を歩いている。

きっと、僕を探しているんだろう。

僕は見つかるまで岩に腰掛けていた。

その時だった。
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