マーブル色の太陽
「サトちゃん」
僕が振り向くと、両手にビニール袋をぶら下げたみどりがいた。
危なかしい足取りで、僕の座る岩場を昇ってきている。
僕は駆け寄り、ビニール袋を受け取ると、空いた方の手でみどりの右手を取り、引き上げた。
「ありがと」
なんだが久しぶりにみどりの顔を見た気がする。
白い肌。
色素の薄い茶色の目。
その目を、ゆっくりと優しく細めると、僕にビニール袋を差し出した。
「おばちゃんから、朝、電話あったの。サトちゃんに弁当渡してって」
「そうなんだ。母さん、何か言ってた?」
僕の母親は、きっと、僕が早朝の学校に呼ばれた理由を話しているだろう。
僕はみどりに坂木のことを話そうと思っていた。