マーブル色の太陽

先程とは比べ物にならないくらいの振動が、鉄の擦れる嫌な音と共にバスを襲う。

棚に上げていた荷物が幾つか落ちた。

窓ガラスに激しく物がぶつかる音も聞こえる。

何人かが頭をぶつけたのかもしれない。


「あ、あ、相田くん、こ、こ、これ、な、なに!?」


江口さんの問い掛けに、僕は無言で首を振る。

そして、口の前で、人差し指と中指でハサミの形を作り、切るまねをする。

この振動では舌を噛み切りかねない。



揺れが更にひどくなる。

僕が立っていられなくなり、座席にしがみつく様に座った、その時だった。
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