マーブル色の太陽
エレベーターを降りる。
左へ行けば『1013号室』へと行けることをフロアの掲示板で確認する。
それにしても、豪華さにおいて、僕の住むマンションのエントランスホールは、ここのエレベーター室に負けている。
僕はこんなところに住む人間を知らないはずだ。
『1005』『1006』『1007』……。
同じような扉がずっと続く。
まるでテレビで見た高級ホテルのようだ。
こんな場所に住む人は、僕とは違うものを食べ、違うものを着て、違う世界を見ているんだろうなと、ぼんやりとした頭で考えていた。
『1013号室』へ着く。
僕の意識とは違う部分の僕が、躊躇することなくインターフォンを鳴らした。