マーブル色の太陽

看護師は、しばらくトレーの上をゴソゴソとしていたかと思うと、ステンレスの缶の中に入っていた体温計を取り出し、僕の脇に差し挟んだ。


「はいはい、検温しましょうって、まだ意識戻ってないわね……」


看護師のその言葉を聞いていると、急に手首がヒヤッとした。

たぶん、脈を測っているんだと思う。

次に腕に何かを巻かれ、ブーンというモーターの音と共に、何かが僕の腕を締め付けてきた。


「はいはい、終わりましたあ」


看護師は僕が寝ているにもかかわらず、いちいち声を掛けて来る。

きっと職業上の習慣なんだろう。

 
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