俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
そう思ったら、自然と涙が頬を伝っていた。

それに気づいた龍が優しく私を抱きしめる。


「…それからも、何度か杏の家に行った。

何度も、何度も追い返されて…気が付いた時には、

杏は家を引越ししてた。…それから5年。

杏の事なんて、忘れられなかった…杏の幸せを思うなら、

諦めなきゃいけないって思ったけど、出来なかった。

そんな時、あの花束を貰った・・・。

それで必死に杏を探した…やっと、杏を見つけた。

今まで長い事離れてたけど、その分も、いや、それ以上に、

杏を守って、幸せにしたい・・・ダメかな」


歪んで見える龍の顔。それでも必死に龍の口を読んでいく。

…私も龍の事なんて、忘れられなかった。

いや、違う。忘れるつもりもなかった。私の大好きな人だから。


私はエプロンの中にあるメモ用紙を取り出す。

・・・そして震える手で、何とか書いた。


『龍の傍に、いてもいいの?』

「…もちろん。オレがいてほしんだ。杏の笑顔がオレの傍にないと、

オレはオレじゃない・・・

父親も説得した」


突然の言葉に、目を見開く。あの父親を説得できたのか?
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