俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
食事を囲み、和やかな雰囲気の中。

あえてその時をねらって話を始めた。

…だって、あんまりお父さんを苦しめたくなかったから。


「お父さん」

「・・・ん?」


「今日の検査の結果なんだけどね?」

「ああ、先生は何も言わなかったな?

大したことはなかったんだろう?」


食事を進めながら、お父さんの顔は笑顔だった。



「…それがね」

「…杏?」


思い詰めた顔をしてたのかもしれない。

私はこれじゃダメだと思って、

笑顔を作った。


「…私の右耳、もう完全に聞こえなくなったの」

「・・・え?!」

私の言葉に、お父さんは思わず箸を落としてしまった。

私は笑いながら、お父さんにお箸を拾ってあげる。


「そんなに深く考えないで?

…聞こえなくなっただけだよ・・・

死ぬわけじゃない・・・」


「…杏」


私の言葉に、お父さんの顔が歪む。
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