俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
「エ、いや、すこぶる調子いいよ?

怖いくらいよく聞こえる」


そう言ってまた笑顔を作る。

…言えない、言えるわけがない。

…もし言ってしまったら、龍は私の傍にいてくれるかもしれない。

でもそれが龍の重荷になるのだけは嫌だ。

もし、何も聞こえなくなっても、

龍には言わない。


例え、龍の声が聞こえなくなっても、

私の記憶に龍の声は永遠に残るのだから。


…今日一日、龍は授業以外は、ずっと私の傍にいてくれた。

私の事を想ってくれる龍が本当に大好き。


「放課後、一緒に病院行くから」

昼休み、私にそう言ってくれた龍。

私は笑顔で頷いた。



・・・でも。


「・・・もしもし」

突然鳴りだした龍の携帯。

話しを進めるうちに、龍の顔がだんだん険しくなっていく。


「…龍?」

不安になり、龍の名を呼ぶ。

携帯を切った龍は、私を思いっきり抱きしめた。

今は二人きりだからいいけど、

心臓がうるさいくらいドキドキしてる。
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