俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
「…龍?」

龍の耳に小さく囁く。


「…ゴメン、急に家に帰らなくちゃいけなくなった」

「・・・え?」


龍は私から体を離した。

「・・・ホント、ゴメン」

「…何で謝るの?家に帰らなきゃいけない用が

出来ただけでしょう?」


「・・・ああ」

「じゃあ謝る必要なんてない・・・早く帰って?

病院には、お父さんが一緒に行ってくれるから」


私の言葉を聞いて、龍は頷くと、走って行ってしまった。

…私はトボトボと、病院への道を独りで歩く。

何で龍は謝ったんだろう?

何であんなに切ない顔をしてたんだろう?

色んな考えが浮かんでは消えて行く。

でも答えは出ない。

溜息をついて、私はまた歩き出した。


「…お父さん」

「遅かったな、学校が長引いたのか?」

「・・・う、ん」

「今日は、龍くんは一緒じゃないのか?」

「…ちょっと用事」

「・・・そうか」
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