俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
【龍side】

「何でオレが社長代理なんだよ、親父?」

目の前にいる父親に怒鳴る。

その父親は、冷静さを保ったまま、俺を見据えた。


「あくまでも代理だ。会長はただの過労だしな?

体調が良くなったら、また元に戻る。

その間、龍が代理をやってくれればいい」


「ふざけんなよ?!

俺はまだ高校生だぞ?財閥の社長なんて大役、

務まるわけなないだろう?」


俺の言葉に、親父はフッと笑った。

「そんな事は分かってるさ」

「じゃあ、なんでだよ?」


「お前が、今の自分の立場をわかっていないからだ」

「・・・何?」


「龍、お前はこの藤堂財閥をしょって立つ男なんだぞ?

そろそろ舞台に上がれ。いつまでそうやって、

ヤンキーみたいな格好してる?身なりを整え、進学に向けて、

勉強にも本腰を入れろ・・・

…最近、変わった女の子と一緒にいるようだが?」

・・・きっと、杏の事だ、そう思った。


「杏は、変わってなんかいない」

「…耳が不自由でも?」
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