俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
家に帰っても、私はお父さんと一言も

口をきかなかった。

その代わりお父さんが、一人で私に喋りかけていた。


「…杏、お父さんの話しを聞いてくれ」

「・・・」


「お父さんも、先生の言った通り、

聾学校に、通った方がいいと思うんだ・・・

今の学校が気に入ってるのは分かる。

友達もたくさんできたって聞いてたしな・・・

でもな、杏にはまだこの先、長い長い人生がある。

将来の為にも、編入する事を考えなさい・・・

お父さんは、どんな手助けだってするから・・・」


「・・・」

話しが終わり、私は自分の部屋に入った。

・・・そして、声も出さず、泣き続けた。

もう時間がない。

編入した方が、将来の為になる事もわかる。

でも、私はどうしても今の高校に通いたい。

せっかくできた友達と離れるなんて、

嫌だよ・・・


・・・!

机の上で、携帯のバイブで振動した。

「・・・もしもし」

「・・・オレ」

その声は、一番聞きたくて、一番聞きたくない声だった。
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