俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
雷君はそんな事は一言も言わなかった。

…私の事を、一番に考えて、言葉を選んで言ってくれてる。

その心遣いが嬉しかった。


『色々・・・ぁ・り・が・と・ぅ』

もう一度、口パクで言ってみた。

すると、雷君は、とっても優しい笑みをこぼした。


…この後、耳の診察を受ける事になった。

その時、自分一人で受け止めきれるか、不安で、不安で。

雷君に自分の今の状況を、話そうとした。


「・・・全部知ってるよ」

「・・・」


「ただ、今の杏ちゃんの耳の具合がどの程度なのか、

オレは知らないけど・・・」


『…嫌じゃなかったら、診察、一緒に行ってもらってもいい?』

「もちろん、オレでいいなら一緒に行くよ」


「・・・」

そして、私は雷君と共に、診察室に入った。



…それから10分後。


診察室の中から聞こえてきたのは、

私のすすり泣く声だった・・・・
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