俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
私は完全に、聴力を失っていた。

…もう何もかも、どうでもいいとさえ思った。

聴力を失い、好きな高校へ通う事も叶わなくなった。

…大好きな人も、私の手の届かない雲の上の人。


・・・どうやって家に帰ったのか、全く覚えていない。

後からお父さんに聞いたのは、雷君が、支えるようにして、

家に連れ帰ってくれたと。

そしてその時、私のすべてを聞いたと。


次の日から、私は学校を休んだ。

でも、お父さんは何も言わなかった。

私がどうしたいか、ゆっくり考えなさい・・・と。

枕元に手紙を置いて、仕事に向かった。


どうしたい?…もう何もしたくない。

でもそれじゃあダメだって事、本当は分かってる。

先生やお父さんの言った通り、聾学校に通って、

将来、一人で生きていく術を、身に付けなきゃいけない事。

でも、今は、失ったものが大きすぎて、

何も考えられない。生きている事すら、苦しい・・・


…誰か、私をここから救い出して。
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