俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
…学校を休んで、何日たったんだろう。

私は相変わらず、何もしない。食事もほとんど取らず、

元々細い体が、更に細くなった。


「…杏ちゃん、入るよ」

「・・・」

夕方、雷君が、私を見にやってきた。

でも私は、雷君を見ようともしない。

それでも雷君は、私の家に足を運んでは、色んな話をして、

少しでも食べさせようと、お父さんに私の好きな物を聞いては

買って来てくれて、食べさせてくれた。


「…杏ちゃん」

優しく私の手を握りしめた雷君。

その温かな手のぬくもりに、枯れてしまっていたはずの涙が、

また溢れていた。・・・そして、ここに来て初めて、

雷君の顔を見た。

雷君は、安堵したような、そんな顔だった。

「気持ちを、溜め込んだらダメだよ。泣きたいなら、

たくさん、泣いた方がいい」


そう言った雷君は、一晩中、泣く私に付き添ってくれた。

ずっと私の手を握りしめて・・・



そのおかげかな。

心の中の、泥みたいな部分が、涙と一緒に、

出ていった、そんな感じだった。
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