俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
「…そうか、聾学校に行くのか」

担任の先生の言葉に頷いた。


「向こうに行っても頑張れ・・・

ここを辞めても、お前は私の生徒なんだから、

いつでもここに来なさい…どんな相談でも受けるから」

そう言って私の頭を撫でてくれた先生に、私は笑顔で頷いた。


…すべての手続きを終えて、

また校門をくぐった・・・・。

私の心臓は、驚くほど、鼓動を早めていた。


「杏」

…私の目の前に、制服姿の、龍が立っていた。

…今日、龍の家に、手紙を届けようと書いていた。

それをカバンに入れていたけれど、まさか、手渡しする事になるなんて、

思いもしてなかった。

…私は俯いたまま龍の前に歩みを進めた。


「…杏、オレ」

龍の声は私にはもう届かない。


私は俯いたまま、手紙を渡した。

龍はその場で、封を開け、中を見た。


『今までありがとう…。私は龍が大好き。

だから、私の初恋を、龍にあげます・・・

それでもう、すべておしまい・・・

龍は、龍の行くべき道を、進んでください。

私も、私の道を、歩いていきます』
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