俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
「学校の方はどう?」

雷君の質問に、私はペンで走り書きをした。


「そっか、友達たくさんできたんだ、よかったね。

…ぁ、そうだ、そうやってわざわざ書かなくても、

オレ、手話憶えてきたんだ」


「・・・」

その言葉にただただ驚く。


「杏ちゃんと、普通に話がしたくて。

他の人に見られたくないなら、人の少ないところに行けば、

杏ちゃんも気にならないだろ?」


雷君の言葉に頷いた。

…私の為に、雷君は色んな事をしてくれる。

私を暗闇から救ってくれたり、

泣いていても、ずっと寄り添ってくれてたり。

今日だって、手話まで覚えてくれて・・・


ただただ、感謝の気持ちで一杯だった。


『…雷君、わざわざ手話憶えてくれてありがとう』

『・・・いや、杏ちゃんの為じゃない。自分の為だから』


「・・・」

自分の為?・・・意味が分からない。


『オレさ、杏ちゃんの事、本気で好きなんだ』

「・・・」

嘘でしょ?・・・そんなこと聞かされたら、私はどうしたらいい?
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