俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
「どういう事だ・・よ」
少し震えたオレの声。

そんなオレを見て、雷は深い溜息をついた。


「・・・お前って、救いようのないバカだよな」

「なっ」

雷の言葉に、目を見開く。


「今頃、迎えに来たって遅いんだよ」

「・・・」


「杏ちゃんは、この高校を退学した」

「・・・退学?」

成績も優秀で、スポーツも出来る杏が、退学って。


「退学…と言うより、編入の方が正しい言い方、かな」

「編入?・・・どこに」


質問し、雷を見つめた。なかなかその先を言わない雷。

「雷」

「…聾学校だよ」

・・・?!聾学校・・・もしかして、杏の耳は。


「彼女は、お前を失ったと同時に、聴力も失った」

「・・・」

言葉が出なかった…杏が一番苦しい時に、傍にいてやれなかったなんて。


「聾学校に行く事を決めるまで・・・

前に進むために、杏ちゃんは、どん底を味わったんだよ。

たった一人で・・・それでも何とか立ち上がって、

前に進みだした。今は、勉強に励んでる。

やっと笑顔を取り戻した杏ちゃんを、お前には会わせられない。

もう二度と、杏ちゃんが苦しむ姿なんてオレは見たくない」
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