俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ
「どうしても、会いたいんです」

必至に言った。


「…気持ちはわかるけど。

君と、杏では、進むべき道が違いすぎる・・・

君は将来、藤堂財閥の後継者だ。

しかし杏は、そんな高い地位の君に合う程、

耳も聞こえなくなって、それでも一人前の大人になる為に、

一社会人になる為に、それだけに必死なんだ。

杏を、もう、苦しい立場には、追い込みたくない。

静かで、穏やかな生活を送ってもらいたい・・・

父親の勝手な言い分だけどね…でも君も、杏を好きなら、

私の気持ちも分かってくれるだろう?」


「・・・」

そう告げたお父さんは、家に入っていった。


・・・もう、杏に会う事も、叶わないのか・・・

どうしたって、もう気持ちが重なり合う事はないのか・・・

そう思うと、胸が苦しくて、苦しくて・・・

その場にしゃがみ込んでいた。
< 96 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop