悪の皇女
「御姉様は酷きお方です!」
民を愛しておらず国すらも愛していないイザベラ皇女を罵る。
だがしかし、心優しき皇女の嘆きは悪の皇女に届くことはない。
「なら貴女は聖女だとでも言いたいのかしら?キャロライン。」
はらりと金色から滴が零れた。
“皇族”とは一体何なのか。“皇女”とは一体どうあるべきなのか。“キャロライン皇女”は涙する。国を愛し民を思い、優しく包み込むのが“皇女”のあるべき姿ではないのか。
「御姉様に、皇女としての誇りはあるのですか。」
思わずポツリと呟いたキャロライン皇女。
しかしハッと我に返ったキャロライン皇女は居たたまれなくなる。返答を聞くのが怖くなり、部屋を後にしようとする皇女――‥
「御待ちなさい。」
を引き留めるイザベラ皇女。