悪の皇女
「なら貴女の言う“誇り”とは何なのかしら。貴女はこの国の何を思い、何を考える。」
逆に問われる。
少し目を見開いたあとキャロライン皇女は見据える。
「――‥私はただ、皆さんと笑い合えることが幸せです。私の歌を聞いて下さる民を愛しております。“幸せを共有し、支え合う”この国の皆さんに、笑顔に溢れた温かい環境を与えるのは“皇女”としての役目です。そして皆さんを笑顔を絶やさず、守り続けることは私の意思であり、皇女にとっての誇りです。」
まるで聖女のようだ。平和を願い安らかな平穏を望むキャロライン皇女。
しかし所詮は綺麗事。御託を並べるのはキャロライン皇女が温かく愛に包まれた表側で生きてきたからだった。ぬるま湯に浸かり、何も知らずに生きてきたからこそ“キャロライン皇女”が誕生した。