悪の皇女





それを聞いたイザベラ皇女は鼻で笑う。



「“キャロライン皇女”らしくて良いんじゃないかしら?つくづくヘドが出そうなほど甘い“キャロライン”には“皇女”がお似合いだ。わたくしは“皇女”にはなれない。幸に満ちた国など、どこにあると言うのか…」

「何をおっしゃってるのですか!ありますわ!ここに!この国が幸に満ちた国じゃありませんか!御姉様はその“幸に満ちた国”の幸を奪っているのです!この国の民の笑顔を御姉様が奪っているのです!」



反論するキャロライン皇女。“皇女”にはなれないと言うイザベラ皇女に語りかける。責めるように言うのはただ、分かってくれると思ったから。キャロライン皇女はまだ、やり直せると思ったからだ。

しかし。



「ええ。そうよ。」

「え、」

「わたくしが奪ってるのよ。この国から幸と言う名の民を。この国に民なんて物は要らない。」



あっさり肯定するイザベラ皇女。
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