悪の皇女
幸を民と言い、民を物と言い、物を要らないと言う。
「―――私は、誤解していました。
御姉様は本当にお美しく、聡明で時期君主の座に相応しい御方だと思っております。上辺しか見ない方が御姉様を悪く言うだけで私にとっては心優しき姉君であり尊敬に値する御方です。本当に、そう思っておりました。
今の、今までは。
私は何かを誤解していたようです。御姉様を“悪の仮面を被った優しき皇女”だと思っておりましたが――イザベラ皇女。
貴女はただの“悪の皇女”です。」
そう言って睨み付ける“皇女”の金色には憎悪が籠っていた。白き皇女が青き皇女に牙を向く。