悪の皇女
純白のドレスをふわりと翻し、踵を返すキャロライン皇女。
“皇女”である前に唯一の“姉”。だからこそキャロラインは許せなかった。何も分かってくれないイザベラに腹が立った。
国を去る者が跡を立たずキャロラインに助けを乞う民と兵士。誰の言葉に耳も貸さないイザベラだが姉妹なら分かり合えるとキャロラインは思った。だが結果は分かり合うどころか予想を遥かに上回る結果になった。勿論、悪い意味で。キャロラインは『どうして――――‥』と唇を噛み締めた。
「これでいいのよ。」
もう既に部屋を出たキャロライン皇女に向かって呟くイザベラ。