総長からの「愛してる」
怒りと苦しみと恐怖と……悲しみ
《side 昴》
俺だって、一から十まで信用したわけじゃない。
ただ、この女が俺に似ていると思った。
過去に本気で死のうと思ったことがあるんだと、見た瞬間に感じた。
過去に、自分の中の世界がいきなり壊れた時があったんだろうことも、感じた。
悲しみも、寂しさも、辛さも、苦しさも、恐怖も、涙も、怒りも。
全部、一気に押し寄せて、泣き喚く時すら一人ぼっちで。
誰も悪くないから、
この感情の波が喉で詰まってしまったような気持ちの、
向ける矛先すらわからなくて。
ただただ溜め込んで、誰にも心を開けなくなって。
頼りたい人がいるはずなのに、言葉にできなかった。
こいつも、同じことがあったんだと、その独特な瞳から気付いた。