総長からの「愛してる」

《side 廉也》




「悠希さんが、中庭で喧嘩してて……止められないんです!」




その大声で浅い眠りから完全に覚醒する。



いつか昴から聞いた、美愛の携帯に電話してきた親しそうな男の名前も『悠希』だったはずだ。




そして、この大声も聞いたことがある。



俺が美愛をホテル街から連れ去ろうとした時に、声をかけてきた男と同じ声だ。




そして、何よりも……



あの美愛が、あんなに必死になるなんて、余程のことだ。





「奏、海斗。」



「ああ、仕方ねえな。」



「明らかな動揺も見えたけど……後悔したような感情も見えたよ。」




俺の呼び声で立ち上がる二人。




< 188 / 443 >

この作品をシェア

pagetop