総長からの「愛してる」
《side 廉也》
「悠希さんが、中庭で喧嘩してて……止められないんです!」
その大声で浅い眠りから完全に覚醒する。
いつか昴から聞いた、美愛の携帯に電話してきた親しそうな男の名前も『悠希』だったはずだ。
そして、この大声も聞いたことがある。
俺が美愛をホテル街から連れ去ろうとした時に、声をかけてきた男と同じ声だ。
そして、何よりも……
あの美愛が、あんなに必死になるなんて、余程のことだ。
「奏、海斗。」
「ああ、仕方ねえな。」
「明らかな動揺も見えたけど……後悔したような感情も見えたよ。」
俺の呼び声で立ち上がる二人。