総長からの「愛してる」
「どうして……っ…」
男に近い位置で立ち止まった美愛。
唇を噛み締め、泣きそうで悲しそうな表情を男に向ける。
悠希という男は美愛に近づいて行った。
「………唇、血が出るぞ。」
こんなに派手に戦って、かすり傷一つもない男。
そいつは、美愛の前に来ると躊躇いもなく手を伸ばした。
「……っ………」
そして、その頬へと優しく触れた。
「ごめん、俺、約束破った。
もう喧嘩はしないって言ったけど、この怒りをぶつけちまった。」
謝罪と同時に、さっきまででは考えられない優しい声。
「……海斗、野次馬を片付けろ。」
「了解。
おらおら、お前らさっさと戻れ。
授業中だぞ馬鹿野郎ども。」