総長からの「愛してる」
奏は、歪めた顔を俺に向け、呟いた。
「あの男、今めちゃくちゃ優しさと嬉しさが現れてるのに……
その奥に、怒りと憎しみが見える。」
優しさと、嬉しさ……
確かにそうだけど、足りない。
あの眼は、愛おしさも映している。
そして、その感情が向けられているのは…
「美愛、わざわざ俺のところに来てくれたのか。」
「そんなことより、怪我ない?
……心配かけないで。」
まるで、恋人のようなその二人の姿に、俺の中からドロドロとした黒い感情が現れる。
「おい。」
既に野次馬が消えた中庭に、俺の声が響いた。