総長からの「愛してる」
俺は、一目だけみて、約一年ぶりの実家に背を向ける。
「今度は、美愛の所に行くか?」
「……そうだね。」
もう何も言わずに、美愛は俺の横に肩を並べる。
微かに、これから行く場所への恐怖で震える美愛。
『大丈夫、俺がいる。』
そう、言おうとした時だった。
「帰ってきたんですか?
ハルさん……美愛さん……」
最も会いたくないやつの声が聞こえた。
先を見れば、太陽を背に堂々と立つ男。
その姿を見て、思わず錯覚してしまう。
「鳳凰 ……」
その声を聞いた男は、心から嬉しそうに、笑った。