総長からの「愛してる」
「でも、中学3年生のある日……私は初めて救われた。
息苦しい施設を抜け出して、私は一度だけ夜の街に出た。
そして、街の中で鳳凰の走る姿を見た。」
一旦区切って、美愛は顔をあげた。
「大丈夫だ続けろ。」
俺の顔色を伺うように、俺を覗き込む。
可愛いけど、今はダメだ。
美愛の話を最後まで聞いてやらないと、美愛は変われない。
「……その時は見ているだけで十分だったの。それだけで、救われた気がした。
そして、高校の入学式の前の日…
鳳凰の総長、天瀬 來叶 (あませ らいと)に出会った。」
懐かしむように、後悔するように……
でも、幸せそうに美愛は語った。