総長からの「愛してる」


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「やっぱり……今日もいない。」




手に握られ、くしゃくしゃになった数万円のお札。



それが意味しているのは、私の生きるための最低な行為と、その褒美。




変わるために、あそこから出たのに、



……まだ、自由になれない。




今の私が、死んでいないのは……


もう一度、あの景色を見たいから。



青の光を背に、風を切ってバイクに乗る彼らに魅了されてしまったから。




もう一度、見たい。




でも、………暴走族のことなんて、わからなくて…



今日みたいに、毎日この間と同じ時間に海に出ても、誰もいない。


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