総長からの「愛してる」
私を見つめる天瀬來叶の視線は、何かを訴えているような瞳だった。
その瞳に吸い込まれそうになって……
目を逸らして、話を続ける。
「いざ海に入ろうとしたその時に、たまたま偶然見た景色に救われたの。
赤い炎みたいな翼を掲げて、夜の海の青と月の光に照らされて……走り抜ける暴走族。
すごく、綺麗だった。
私では手に入れられない輝きがあった。
どんなに時間をかけても、私では届かない……そんな彼らの姿に惹かれた。
もう一度だけでいいから、あの景色をみたかった。
だから、今日まで生きてきた。」
彼らは何を思って走っていたのだろう?
バイクで風をきっていくのは、どんな心地だろう?
想像するだけで、楽しくなれた。
届かなくてもいいから、見たかった。