総長からの「愛してる」
思い返せば、私の前だけは本当に良い父親だった。
一生懸命働いて、保育園には毎日きちんとお迎えにきてくれて。
なれない料理も本を片手に作ってくれたのは微かに覚えてる。
ただ、夜になればその背中は驚くくらい悲しそうだった。
泣きながら、「愛してる」と呟くお父さんの姿だけが、幼い頃のはっきり残っている記憶。
そんな家庭でも、私の日々の中に幸せがあった。
そんな少しだけ悲しい幸せは、とある事件を引き金に、全て一変してしまったんだけど。
「お父さんがいなくなって、一人になった私を親戚の人はお互いに押し付けあった。
お母さんがまともにいないことも、日本人には見えない容姿のこともあって、気味悪がられたんだと思う。」