総長からの「愛してる」
苦しいくらいの既視感に包まれる。
これと同じ展開を、知っている。
丁度、一年前くらいの春。
同じことが、あった。
だけど……振り返っても、何度も助けてくれた來叶はいない。
でも、彼がいた。
「美愛………」
「は、る………」
全速力でここまで来たのか、肩で息をしている。
來叶といい、悠といい……
全力で私を救おうとする。
それは、嬉しいものであったはずなのに、それは『過去』の私の気持ちでしかなくなっている。
『今』の私には、響かない。
驚くほどに、今、その言葉に救いを感じないの。