総長からの「愛してる」



苦しいくらいの既視感に包まれる。



これと同じ展開を、知っている。





丁度、一年前くらいの春。



同じことが、あった。




だけど……振り返っても、何度も助けてくれた來叶はいない。



でも、彼がいた。





「美愛………」



「は、る………」





全速力でここまで来たのか、肩で息をしている。




來叶といい、悠といい……


全力で私を救おうとする。



それは、嬉しいものであったはずなのに、それは『過去』の私の気持ちでしかなくなっている。




『今』の私には、響かない。




驚くほどに、今、その言葉に救いを感じないの。




< 361 / 443 >

この作品をシェア

pagetop