総長からの「愛してる」



その場で深くお辞儀をした私。



さっきまで瞳に溜まっていた涙は、もう乾いていた。



私以上に辛いのは、來叶の家族だから。




…そして、もう一つ。


私には伝えられなかったことがある。




「………言わなければならないことがあります。」



いつか、伝える日が来ることは覚悟をしていた。



伝えなければ、いけないことがわかっていても伝えられなかった。



緊張が体を支配し、驚くぐらい喉がカラカラになる。




「私、來叶との間に…「聞く気などない。」



遮られた、言葉。



一瞬の空白のあと、じわじわと広がる悲しみの感情。




< 436 / 443 >

この作品をシェア

pagetop