総長からの「愛してる」



「……その名前も知りたくはない。」




……知られて、いたんだ。




愕然とした。



私の伝えようとしていたことは、お見通しだったんだ。




『その名前も知りたくはない。』



存在を知っていた上で、“未來” と口に出すことすら許されない。



それは明確な拒絶。




『認めない』という意思表示。




そして、この先永遠に。



未來には私しか家族がいないという事実。



ーーーそれは、とても残酷な告知。





「……失礼するよ。」




家族がいないことが、どれだけ辛いか。


家族がいるだけで、どれだけ自分の生きる力になるか。



私は痛いほど知っている。




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