総長からの「愛してる」
なぜ俺は、気付けなかったんだろう。
天瀬社長が 天瀬來叶の父親だということも
美愛が天瀬社長に怯えていたことも
俺は、なぜ好きな女一人すら守れない。
「………美愛、ごめん。ごめんな。」
その言葉は、美愛には届かない。
魂が抜けたような美愛の瞳には、もう希望なんざ残っちゃいなかった。
座り込んだままの美愛を抱っこする。
持ち上げて車へと向かうが、美愛はバランスを取ろうともしないし、
体に力すら入れない。
今の美愛は、生きることを諦めていた。
美愛の様子を見て、初めて知った。
『生きた屍』というものを。