総長からの「愛してる」
「悪いが、美愛の具合が悪いんだ。
こっちは急いでるんだよ。」
俺が圧力を込めるように言う。
「それなら、こっちで預かる。
美愛さんを、渡せ。」
「どこの誰ともわからねぇ奴等に、美愛を預けるわけにはいかねぇんだよ。」
俺は、それだけ言うと、男たちを通り過ぎる。
男たちも、自分たちに分が悪いことはわかっていたのか、渋々引き下がったようだ。
「………どうなっても知らないからな。
あの人を怒らせない方が得策だぜ?」
すれ違いざまに、そう言われる。
あの人?
俺は気になったが、身体が辛そうな美愛を見て、追求することはやめる。
その代わり、心の中で美愛に問いかけた。
美愛、お前は一体何者だ?