総長からの「愛してる」
「美愛の鞄なら、ここにあるぜ。」
その声の主を見れば、今度は私が顔をしかめた。
「桐生 海斗……。」
「なんでフルネームなんだよ。」
桐生 海斗は、名前を読んだ私に苦笑いを返してきた。
「海斗、で構わねぇよ。」
そう言いながら、鞄を投げてきた。
海斗、ね……この人たちの呼び方なんて正直なんでもいい。
私は鞄を受け取ると、十六夜 廉也の横を通り、外に繋がるであろう扉に手をかける。
「何処に行くつもりだ。」
「帰るつもりだけど。」
私が言うと、十六夜廉也は私の腕をつかみ、私が外に行くことを阻止してきた。
「お前、下がったつっても、まだ相当熱があるんだぞ?」
「だからなに?」