総長からの「愛してる」
十六夜廉也の手によって、私の腕は彼自身の腰に巻きつけられた。
「腕離すんじゃねぇよ。」
そう言われると同時に、動き出すバイク。
安全速度で走ってくれるのも、彼の優しさだろうか。
暖かい風が爽やかに頬に当たる。
バイクに乗るなんて、久しぶりだ。
悠も持っていて何度か乗せてもらったことがある。
頼むたびに
『好きな女しか乗せないって決めてんだからな』
なんて、愚痴を言いながらも乗せてくれた。
「懐かしいな……」
もう戻れない、幸せな日々。
……悠は今でも、未練を残したままなんだろうか。