ある人々の恋愛
 公園の時計が1時を示すと、彼がゆっくりと私の元へやってきた。私は久しぶりに会う彼を優しく迎えた。手が触れる。大きな彼の手が触れ、私の手をにぎりしめる。彼の大きな体に抱き寄せられ、顔をうずめる。私たちの場所だけ時がぽっかり取り残されたように時が止まった気がした。
彼の体温、匂い、心臓の脈打つ音、に懐かしさと切なさが同時に私の心にこみ上げてくる。
 「ありがとう。今までずっと愛してくれてありがとう。抱きしめてくれてありがとう。始めてあった時、声をかけてくれてありがとう」心に溜まった水は徐々に減っていき、空の心が残った。
私の目から自然と水が流れた。彼は雷に打たれたように、驚愕し、何か言おうと言葉を探した。彼の目にも水が流れてきて、一緒に泣いた。彼も寂しかったのだろうか。きっとそうなのだろう。
涙はとめどなく流れても、空は青空で、私の心にも彼の心にも別の誰かが愛をいっぱい入れて、太陽のようにきっといつか笑顔に変えてくれるだろうか。

「水溜りの太陽」完
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