2つの地球
「今までありがとう!私忘れないから!絶対に!皆が忘れてもずっとずっと忘れないから!」
「そろそろ乗って下さい。」
「はい…」
そして私はクローン輸送機に乗り込んだ。
「「花梨!俺らはお前を忘れない!だから先に準備でもしてまってろ!」」
私は笑った。泣きながら笑った。
顔はぐちゃぐちゃだったけど皆との別れをいいものにしたかったから。
和哉も拓馬も地球にきてくれる。
先に行くだけ。
私は準備をする。和哉と拓馬のために。
クローン輸送機が発射しはじめた。
私は手が抜けそうなほど手を振った。
もう涙はでない。
私はこれから地球に行ってあの制度をやめさせる。
クローンでも気持ちはある。
そんな風に作ったのは人間なのに。
私たちを苦しめる。そんなのはおかしい。
この制度をやめさせて、人間が、クローンが、過ごしやすいものを作っていくんだ。
私にはできなくても、和哉も拓馬もいる。
この苦しみから抜けるんだ!
私たちの星が丸く見えるまで高くなった。
そして地球が大きくなっていくにつれ私たちの星は小さくなっていった。
< 26 / 43 >

この作品をシェア

pagetop