真夏の残骸

「………あついね」

「…………うん」


何度も交わした言葉。

でも、もうきっと、交わせない言葉。


いつの間にか体操座りは崩れていて。

少し身を乗り出したきりのくんの手が優しくわたしの腕に触れた。

視線が絡み合う。

どうしようもなく暑くて、汗が流れて。

だけど、どこか甘い匂いがして。

きりのくんの頬を伝って落ちていったのは、本当に汗だったのか。

わたしにはわからない。
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