真夏の残骸
開いていた課題の本を閉じて、代わりに手帳を取り出す。
同窓会の予定日は運よく何の用事も入っていなかった。
真っ白なそこに、同窓会の文字を手早く書き込む。
「じゃあせっかくだし行こうかな」
「ほんとー?よかった!!」
気が緩んだらしい麻美の声のトーンがぐっと上がった。
幹事なんて慣れないことをして疲れているらしく、話がだんだん愚痴混じりになる。
お疲れさま、なんて言葉を交えながら小学校時代の思い出話に浸った。
修学旅行のときに迷子になった話や、2人そろって公園の池に落ちてびしょ濡れになったこと。
まるでつい昨日のことのように昔の映像が次々と脳内に浮かび、気付けば2時間近くも話し込んでいた。