真夏の残骸
約束の場所へと向かう途中、ちらりと腕時計に目を落とすともうすぐ17時だった。
二、三度瞬きをすればもう針は進んでいた。
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
17時を告げる公園の鐘が鳴った。
少し離れた距離にいるのに、まるで公園にいるような錯覚を覚えた。
鐘が、音が、熱が、夏が、わたしを抉る。
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
きりのくん。
きりのくん。
きりのくん。
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
頭の中で鐘の音がループする。
ぐるぐると終わることなく。
彼の名前を呼び続ける。