真夏の残骸
ゴーン、ゴーン、ゴーン。
きりのくん。
きりのくん。
きりのくん。
……会いたいよ。
心の中に転がってきた言葉は、紛れもなくわたしの本音だった。
会いたい。
過去のことを蒸し返したいわけでも、あのキスの意味を問い質したいわけでもない。
ただ、ただ。
きりのくんは今、幸せかな。
それを知って安心したいだけ。
忘れないでと懇願していた君が、笑顔でいるか、気になるだけ。
その幸せや笑顔に、わたしが何一つ関与していなくても。
…だからお願い、一目だけでも。