真夏の残骸

きゃっきゃとはしゃぐ留美は昔っから恋バナが大好きだった。

変わってないなぁと心中で笑いながら、できるわけないよーと言葉を返す。

そういう留美はちゃっかりペアリングなんて代物を付けていた。

誕生日にもらったんだ、と嬉しそうに話す留美はキラキラしていてとても可愛かった。

……恋、かぁ。

目を閉じて脳裏に浮かぶのは幼い泣き顔の少年の姿。

蝉の音が、止まったはずの歯車を動かす。

ぎりぎりと錆びついた音を孕ませて。



忘れないで、忘れないよ。

忘れられるわけがないよ。


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