真夏の残骸

「じゃあ100かぞえたらさがすからなー!」

「みんなかくれろー!」

「きゃははっ!」


みんなが散り散りになって走り去っていく。

隠れて良い範囲はこの公園の中だけ。

今思えば小さい公園だけど、当時はかくれんぼにもってこいの場所だった。

広すぎなくて、だけど十分に未知の世界が広がっていた。


「ちかちゃん、どこかくれるー?」

「えへへ、ないしょ!」


仲の良い友達にも秘密の、とっておきの隠れ場があった。

あそこなら絶対に最後まで見付からない。

そんな自信があった。
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